どのような福利厚生を導入したらいい?
2019.09.02
近年の新卒採用の学生は給与の高さよりも福利厚生の充実している企業を就活で選ぶ傾向が出てきています。
また中途採用を検討する女性に福利厚生についてのアンケートでは、福利厚生を重視する人が83%になっています。
福利厚生を重視する背景には、「仕事だけでなく生活にも関係する」といった個々人のワークライフバランスを考慮する傾向や、「仕事を長期にわたって続けられるか左右される」など会社にとって人材定着の問題に関わる点があります。
(画像はイメージです)
また「実際にあった福利厚生でよかったと思うもの」としては、食堂、昼食補助や住宅手当、家賃補助、レジャー施設などの割引を挙げています。
確かに導入しているケースが多い福利厚生といえば、住宅、家賃や食事の補助、またはレクリエーションや健康診断というイメージがありますよね。
ところで福利厚生とはどういう意味なのか説明しようとすると、難しいことと思いますので、意味を確認しておきましょう。
福利厚生を行う目的もふまえて言いかえると、賃金や労働時間など基本的な労働条件以外の分野で、企業が従業員の安全、安心やモラルの向上を期待することと、人材募集における魅力のアピールや労使関係の安定といったことのために行なうことです。
しかし福利厚生といっても、さまざまなものがあります。
法定の福利厚生は法律で従業員の加入が義務になっている制度です。
具体的には健康保険、雇用保険などで以下の内容のことです。
・社会保険(従業員本人だけでなく扶養家族を含みます。)
・厚生年金保険
・介護保険(従業員の年齢が40歳以上65歳未満の場合です。)
・労働保険(失業保険)
・労災保険
・労働基準法における休業補償
・児童手当拠出金
このうち労災保険と児童手当拠出金は、従業員の負担がなく、企業が全額負担をしていて、社会保険、厚生年金保険、介護保険、労働保険は労使折半をしているものです。
先に法律で義務付けられた福利厚生について述べましたが、もう一つの法定外の福利厚生があります。
こちらは企業が任意で実施する内容で、企業の経営方針や従業員のニーズをふまえて、福利厚生の内容を変えることもできます。
この法定外の福利厚生について、大まかには以下のように分類されています。
・住宅
・医療、保健、健康
・育児、介護
・自己啓発
・慶弔、災害、共済
・レクリエーション
・財産形成、退職金
・その他
具体的にどのような内容か、一つ一つを見ていきましょう。
一般的に住宅関連の費用は購入、賃貸を問わず生活費のうちの大きな割合を占めます。
その負担を軽減させる目的で、住宅の福利厚生を行っていて、家賃補助、住宅ローン金利の補助、社宅などの形態があります。
近年「健康経営」という言葉が広まっているように、従業員の健康管理は企業経営に大きなメリットがあると理解されるようになってきました。
従業員が定着するだけでなく、心身ともに健康に働くことは業務を集中して行うなど生産性を大きく向上させます。
そのため多くの企業が健康診断、人間ドックの費用補助、メンタルヘルスケアなどの健康関連の福利厚生を導入しています。
少子化、高齢化が一層進んでいる中で、育児、介護に関連する福利厚生に力を入れている必要性は大きくなっています。
さらには多様性を意味するダイバーシティの考えが広がって、女性管理職の増加、積極的な男性の育児参加もあり、法定外の育児、介護休暇の設定や男性社員向けの育児支援をしていますし、大企業では託児施設の設置も進めています。
また今までの育児休暇は「従業員の子」を対象にしていましたが、「従業員の孫」にも対象を拡大する企業も出てきています。
自己啓発関連の福利厚生は、従業員のスキルアップを促すことが多く、セミナーや勉強会の開催をする、または資格、通信教育の費用補助などがあります。
最近は業務を関連する分野ではない内容であっても、セミナーなどに参加を促すことをしている企業も増えています。
従業員の結婚や出産、または従業員本人や家族の不幸に際して、企業からお金などが出る制度のことです。
慶弔、災害見舞金や遺族年金、遺児年金などが挙げられますが、人が生きていく中で起こりうる出来事のため、比較的昔から導入されている分野です。
レクリエーション関連と言うと、以前は従業員の毎日の働きをねぎらい、親交を深める目的で社員旅行や忘新年会を行い、その費用を会社側で負担したので、こうしたものをイメージされる方も多いでしょう。
近年は社員全員で行うものではなく、社員個人が自分で予約を入れるなどして、旅行や外食を割引価格でできるサービスを用意する企業もあります。
従業員の資産形成を手助けする目的で行われる福利厚生です。
具体的には財形貯蓄制度、従業員持株制度などで、一定額天引きされて貯めるので自分で貯金できないなどという人には特に便利ですし、資産運用という多くの人が興味、関心を持つ分野のため、従業員のニーズもある福利厚生です。
その他今までの挙げたほかに、企業が独自に行なっている福利厚生もあります。
誕生日や結婚記念日などの個人にとっての特別な日の休暇や、社員食堂がありますが、独自の福利厚生を導入する目的には、社員から好評を得るだけでなく、他の会社がやっていないユニークで注目を集めることもあります。
ユニークな福利厚生は注目を集めやすく、「従業員を考えている会社」という宣伝効果をもたらし、採用面で有利になるほか、社員のモチベーションや生産性の向上、または人材の長期定着につなげることができます。
ユニークな福利厚生の事例にはどのようなものがあるか例を出していきたいと思います。
南ヨーロッパで午後に昼寝をとって休むシエスタ、この制度を導入している企業もあります。
シエスタタイムは仮眠のほか、それなりに時間を使う美容室、映画、マッサージなどに出かける人もいて、それぞれに思った時間を過ごしています。
このシエスタ制度の結果、リフレッシュし集中力が高まり、生産性の向上につながっているそうです。
一定条件の独身社員には、土曜日は出社禁止にするほか婚活を行うための特別手当を要しして、会社が婚活を後押しし、プライベート面の充実をサポートしています。
しかし「珍しい福利厚生をする」目的を強くしすぎると、社員が満足しない、形骸化する、形だけで機能しないなど無駄になりかねないので、あくまでも社員のニーズに合っている内容、社員が喜ぶ内容を検討していきましょう。
導入についてはその他の独自で行うものは別として、自社ですべて行おうとするよりも、アウトソーシングを活用することができます。
アウトソーシングを活用することで、準備期間をかけず、その後の管理コストも抑えられます。
例えば、小規模な社員食堂や宅配の昼食サービスを活用して、食事の補助をしたり、自己啓発やレクリエーションは福利厚生を提供する企業にアウトソーシングすることで、各種スクールや旅行、レジャー施設を格安で利用しやすくなったりということができます。
福利厚生の目的をおさらいしますと、より優秀な人材を確保し、一生懸命に長く働いてもらうことが第一です。
現状、人口減少に伴う働き手の減少、そして数年前までからクローズアップされてきた過剰労働による心身の不健康と医療費負担の増加などの対策を目的にして登場した「働き方改革」、「健康経営」が大企業、中小企業を問わず求められています。
こうした流れの中で、取り組みが早い企業が、優秀な人材をより集めやすくなっており、取り組みの一つでもある福利厚生の充実は働き手を確保する効果があります。
また確保できた人材が、高いモチベーションで定着していくこと、社員の健康状態などの把握などの効果もあります。
「ワークライフバランス」や「働き方改革」という言葉が一般的になり、人手不足も加わったことで、より優秀な人材の獲得と定着率の向上は、企業にとって重要な課題です。
この課題に対する対応として、福利厚生のサービスや制度を導入して、社員の満足度向上を目指していきましょう。
▼外部リンク
マンパワーグループ
https://www.manpowergroup.jp/
▼外部リンク
福利厚生.jp
http://hr-welfare.jp/
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