2019年4月「働き方改革」、労働時間に関する制度の見直しとは?

2019.09.01
2019年4月から始まる働き方改革

2018年に働き方改革関連法が成立し、一部は2019年の4月の施行が予定されています。現在の日本は人材不足に陥っています。出生率の突出した上昇も見込めないこともあり、何も対策をしなければどんどん人材が減っていくことは明らかです。

誰もが働きやすい環境にすることで働き手を増やし、子どもを産みやすい環境を整え、確保できる人材で仕事を回せるように労働生産性を高めるために働き方改革は必至でした。

働き方改革によって検討されている対策は、長時間労働の改善、労働形態による待遇格差の是正、高度プロフェッショナル制度の導入などです。

長時間労働の改善に関しては労働時間の把握の義務化や年次有給休暇の取得義務など複数の規定が設けられますが、ここでは長時間労働の改善対策の一つである時間外労働の上限規制に注目します。

長時間労働の改善は労働者のワークライフバランスを整え、労働者の健康維持に貢献します。また、女性だけでなく男性も家事や子育てに参加しやすくなることで少子化対策への歯止めが期待されます。

働き方改革の労働時間に関する制度の見直し

働き方改革による労働時間に関する制度の見直しで、残業時間が規制されるようになります。大企業においては2019年4月、中小企業においては2020年の4月が導入時期として予定されています。

時間外労働の上限規制の設定
今までは残業時間の規制が設けられていない状態だったので、残業は当たり前と考える企業や労働者が多かったです。しかし、2019年4月からは原則として月に45時間までの残業しか認められません。日に換算すると約2時間です。年では360時間が上限となります。

繁忙期など特別な事情がある場合には、年間最大6ヶ月までという条件で休日労働を含めて月に100時間未満、複数月平均では80時間以内で残業が認められます。年では720時間以内が上限となります。

時間外労働の上限規制はすべての企業で一斉に導入されるわけではなく、一部の業種や職業では適用が猶予されることが決まっています。また、従事する部署によっては時間外労働の上限規制が適用されない労働者もいます。

上限を超えると罰則がある
規定の時間外労働の上限を超えることは法を違反したことになるので、罰則を受けなければなりません。時間外労働の上限を超えた場合の罰則は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金と法で定められています。

現在までも、時間外労働による労働基準法の違反で管理職が書類送検されるという事例はあります。2019年4月に時間外労働の上限規制が企業に導入されてからは、もっと時間管理が厳しくなることが予想されます。企業は導入前から残業を減らすように対策することが求められます。

時間外労働の上限規制で悪い風習を改めよう

時間外労働の上限規制の導入は労働者にとって良いことですが、仕事に支障が出ることを懸念している人がいるのも事実です。企業が仕事の仕方を見直したり、取引先や顧客が理解を示したりなど社会全体での協力が必要となってくるでしょう。

一方、日本の企業内には周囲の雰囲気に合わせて残業をするという風習が残っている場合があります。自分の仕事が終わったにも関わらず帰りにくい雰囲気のために残業をしたり、上司の顔色をうかがって残業を強いられたりしている労働者がいます。

昔から根付いている長時間労働は美徳だという考え方は時代遅れになりつつあります。働き方改革を契機に、企業や管理職は今までの悪い風習を改めて新しい労働の価値観を作っていかなければなりません。現代ならではの労働や職場に関する価値観を浸透させることも長時間労働の是正に繫がることでしょう。

(画像は写真ACより)

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