働きやすい職場環境のためのメンタルヘルス施策とは
2019.09.01
過重労働問題によるメンタル系の疾患が社会問題になって久しいですよね。
さらにここ数年、社会全体で人手不足に陥ってきたことで、過重労働になりがちな業界、企業への応募を避ける傾向も広がってきています。
また今勤めている人の中でも過剰労働の業界、企業から転職する方も増えています。
今勤めている人たちを引き留め、新たにいい人材を獲得するために、これまで以上に働きやすい職場環境を作る必要が出てきています。
働きやすい職場環境であることをアピールする一つの方法として、メンタルヘルス施策を実施していることがあります。
そもそもメンタルヘルスとはどういうものでしょうか?
(画像はイメージです)
そもそもメンタルヘルスという言葉からどのようなイメージを持たれるでしょうか?
うつ病、元気がない印象などマイナスのイメージを持つ方が多いように感じます。
イメージとしてはこうしたものがあるものの、メンタルヘルスとはどういうことなのか、あるいはどうしたらいいのかについて明確とはいえない様子で、メンタルヘルスといっても、一人一人で違った意味を持っています。
メンタルヘルスの専門家の定義としてはメンタルヘルスとは「こころの健康」ということです。
つまりこころを元気にする、病気にならないようにする活動であり、傷ついたこころを治す「治療」ではありません。
それではメンタルヘルスのポイントであるこころの健康とはどういうことでしょうか?
健康とは「心身が良い状態である」ことで、病気になっている、なっていないという話題ではないです。
「心身が良い状態である」といえるのは、病気ではないことはもちろんですが、仕事もプライベートも充実して満足できる状態のこととなります。
しかし仕事、プライベート両方とも満足できる状態を続けられることは、なかなか難しいことです。仕事が順調でも多忙のためプライベートに影響が出てしまうこともあるでしょうし、プライベートはうまくいっているけど仕事は不調ということもありえます。
仕事とプライベート両方を満足して過ごすことは難しいですが、難しいからこそ心を健康にするにはどうしたらいいか考える必要があります。
企業としては、働いている人たちが仕事面で充実させられる環境を用意すること、そしてプライベートを充実させるための助けを行うこととなります。
具体的には仕事面では、後で詳しく述べますが、業務の負担や労働時間の軽減などを行うことです。
一方プライベートというと、職場外なので関係ないと思われるかもしれませんが、長時間労働や休日に急ぎでもない些細な理由での呼び出しなどでプライベートに影響を与えることを避ける取組みをすることができます。
ストレスをためることとありますが、ストレス反応としてソフトバンク心理的反応、身体的反応、行動的反応の3つ
過重労働はメンタルヘルスを悪くする原因の一例になっています。
過重労働が働き手の心身に害を与えることにより、過労の発生、うつなどの精神疾患、自殺や過労死へと至った場合に、企業に損害賠償責任を負うことが判例で認められるようになっています。
働き手が具合を悪くしていると勤務先に伝えていないとしても、企業側に安全配慮義務があることから、従業員のメンタルヘルス問題に気がつかなかったという言い訳は通じなくなっています。
過重労働が起こっていると認められると、安全配慮義務違反で責任を問われてしまうといっても、どのように気をつけたらいいのでしょうか?
平成29年の厚生労働省の労働者健康状況調査によると、過半数の労働者が「職場で強いストレスを感じる事柄がある」と回答しています。
その「強いストレス」の内容は仕事の質と量、仕事における責任や役割、地位、そして対人関係と多岐にわたります。
この調査をふまえて気をつけるポイントになるのは
・労働の量
・労働の質
・職場環境
の3点の労働環境について配慮しておくことが重要です。
労働の量とは、業務に無駄があって効率化できないのか?不要な会議や雑務で時間を浪費していないか?という労働時間に関することです。
一般的にメンタルヘルスを考えるにあたって、長時間労働は問題としてわかりやすい内容ですので、わかりやすいことかと思います。
労働の質は、個々の業務の負荷によって違いのある内容です。
たとえば精神的に強いプレッシャーを感じる業務とプレッシャーの少ない業務、達成感を感じやすい業務とそうではない業務、裁量権を含め自由度の高い業務と決まりごとが多い業務など業務によって負荷が違います。
職場環境は、人員の充実度や社員間の連携、上司、部下の間でコミュニケーションがとれているかなど人間関係に関することです。
連携、コミュニケーションがとれていない孤立感を覚える状況はストレスを感じやすくなりがちです。
そうした強いストレスを感じていないかを確かめることが必要です。
ストレスチェックとはストレスに関連する質問を労働者本人が回答する検査です。
ストレスチェックは従業員50人以上の事業所に毎年1回全ての労働者に行なうことを義務化されていますが、ストレスチェックの結果をメンタルヘルスに活かせているでしょうか?
このストレスチェックの目的は、回答した個々人のストレスがどのような状態か調べることで、メンタルヘルス不調を予防することであり、予防のために企業は職場環境をよくする取り組みを行うことが重要です。
職場環境をよくするとは、ストレスチェックは従業員の回答を集計、分析し、現場において可能な職場環境の改善を検討、実施します。
そしてストレスチェックを毎年実施するため、今年と昨年の結果を比較して、1年間の取り組みの成果を確認、評価していくことができます。
ストレスチェックを行うにあたっては、ストレスチェックは勤めている一人一人に回答してもらうことが必要ですが、メンタルに関することだけに簡単に全員が了承しない可能性があることです。
そのためストレスチェックを行う方針を示し、実施方法について
・いつ
・誰に
・どんな目的で
・どのような質問票を使って
・回答の分析をどのように
実施するのかについてと、結果をふまえて、
・どのようにストレスの高い人を選び
・面接指導の申し出を誰に伝えて
・面接指導をどの医師に依頼するのか
について事業所の衛生委員会で話し合い、社内規定として明文化し、全ての労働者に内容を伝えていきましょう。
質問票を個々人に配り、記入をしてもらい、記入完了したら回収をします。
なお回収は医師などの実施者が回収するようにし、担当者以外はもちろんですが、特に社内の人事権を持つ人は、回答完了した質問票を閲覧してはいけません。
回答内容をもとに医師などの実施者が、個々のストレスの程度を評価し、ストレスの高いために医師の面接指導が必要な人を選びます。
そして結果を実施者から本人に直接通知するとともに、結果は実施者が第三者が見ることのできない状況で保存します。
結果については、本人の同意なしに企業が入手することもできません。
ストレスチェックの結果、「医師による面接指導が必要」と通知された従業員がその旨を申し出た場合には、医師に依頼して面接指導を実施します。
面接指導を実施した医師から、就業上の対応が必要なのか、必要ならばその内容について、意見を聴き取り、意見をふまえて労働時間の短縮や業務負担の軽減などの措置をとります。
なおストレスチェックの結果を会社に提供する旨の同意をしないこと、そもそもストレスチェックを受けないことや面接指導を受ける、受けないまたは面接指導の結果を理由に、不利益な取り扱いをしたり、解雇や退職勧奨をしたりということは禁止されています。
メンタルヘルス対策を求められるようになって、新しいコストの負担のように感じる企業も多いと思います。
しかしストレスチェックと職場環境の改善をコストと考えるのではなく、生産性を高めるために従業員のメンタルヘルスを重要な経営資源と考え、職場全体の心身の健康度を向上させることで組織を活性化させる取り組みです。
そうした点を意識してメンタルヘルスの取り組み、そして自社の活性化につなげていただけたら幸いです。
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