プレ金はもう終わり?それとも週休2.5日の一里塚?
2019.08.07
2017年2月に始まったプレミアムフライデー(プレ金)も3年目を迎えました。
経団連と経済産業省が旗を振り、鳴り物入りで始まったプレ金ですが、半年ほど経った頃から「プレ金は、もう終わり」と言われるようになり、今では話題にのぼることも少なくなりました。
とはいえ、完全になくなったわけでなく、国と経済界の一部は今もプレ金に市民権を与えようと躍起になっていて、プレ金イベントも健在です。
本当にプレ金はもう終わりで、このまま忘れ去られるのでしょうか?そして、今もイベントを盛り上げようと懸命に努力している国や経済界は、プレ金の将来に何をみているのでしょうか。
次のプレ金の日まで、ちょっと考えてみましょう。
そもそも、プレミアムフライデーとは、どういう日なのか。覚えていますか。
「毎月末の金曜日は午後3時に仕事を切り上げ、余暇やショッピングに充てよう」という取り組みで、飲食店やショッピングセンター、娯楽施設などが特別なサービスを行います。
発足当初は、ロゴマークの使用を申請する企業・団体が5000社を超えるなど、業界側も消費拡大につながるのではないかと大いに期待を寄せました。
ところが、実際は月末の金曜日といえば、月間売り上げの集計や経費の精算などで多忙な時期。売上増を見込む流通・サービス業界はともかく、その他の社員を休ませる側の企業からは「月末は忙しい。月の初めにしてほしい」という声が上がるほどで、なかなか広がりません。
さらには「働き方改革なのか消費拡大策なのか、はっきりしない」という批判も受け、そうこうしているうちに「プレ金は終わった」とまで言われるようになってしまいました。
本当に、プレミアムフライデーは忘れ去られてしまったのか、意識調査から見てみましょう。
市場調査会社のゼネラルリサーチが2019年2月、開始から3年目を機に実施したインターネット調査によると、プレ金の認知度は91.3%。決して忘れられてはいないようです。
しかし、「勤めている会社では実施していますか」という問いに「はい」と答えた人は、わずか10.7%。さらに、実施している企業の規模を聞くと、50人以下の企業が37.5%で最も多く、501人以上の大企業が34.2%と両極端な結果となりました。
どうやら、プレ金を楽しんでいるのは、大企業か、ベンチャー企業のような小規模な会社の従業員がほとんどのようです。
そして、実施にあたっての懸念については、「業務の圧迫」や「時間外の外部の対応など」を挙げる人が6割以上を占め、やはり「忙しくて休みたくても休めない」というのが現場の実情。調査結果を見るかぎり、決して忘れ去られたわけではなく、「関心はあるけど、忙しい」というところなのでしょう。
実施3年目を迎えた2019年2月、日本経済新聞社と官民でつくる「プレミアムフライデー推進協議会」は東京都内で、「これからの日本の働き方を考える」と題したシンポジウムを開きました。「まだまだ、諦めてはいない」というところでしょうか。
注目したいのは、石塚邦雄経団連副会長が挨拶で「週休2日も定着するまで20年かかった」と指摘したこと。そして、みずほ総合研究所の高田創調査本部長が講演で「週休2.5日のゴールに向けて、日本のライフスタイルを変えていく」と述べたことです。
どうやらプレ金は、「将来的な週休2.5日の実現」で目標が定まってきたようです。今はまだ実施率が低くても、時間をかけて浸透させていけば、働き方やライフスタイルを着実に変えていくはずだということでしょう。
企業の働き方改革とうまくかみ合えば、改めてプレ金が脚光を浴びる可能性もありそうです。
シンポジウムでは、プレミアムフライデーのサービスを初回から続けている串カツ田中の貫啓二社長も講演を行いました。テレビなどで大きく取り上げられたこともあり、大きく客足が伸び、今も順調に売り上げを伸ばしているそうです。
サービスを提供する側にとっても、プレ金は決して「終わり」ではない、ということでしょう。
思えば、土曜日が「半ドン」とよばれ、半日休みだった時代、「民間はともかく、公務員に週休2日はムリ」と言われたものでした。しかし、今ではすっかり週休2日が定着し、「半ドン」などという言葉も死語になりました。
そう考えれば、プレ金もいずれは定着し、毎週金曜が「半ドン」と呼ばれる日がいつか訪れるのかもしれません。
画像はPixabayより
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