2020年適用予定の同一労働同一賃金とは?

2019.04.20
日本企業に蔓延する雇用形態による待遇差

現在の日本の職場では、様々な雇用形態の人が一緒に働いています。無期雇用の正規雇用労働者と派遣、パートタイム、有期雇用労働者などの非正規社員がいます。

仕事の責任を負うのを回避したり、自由さを求めたりして非正規雇用に甘んじている人もいますが、正社員になりたくてもなれないまま非正規社員として仕事をする人もいます。

特に新卒雇用を重視する日本では、新卒の機会を逃した人や結婚や出産で退職した女性などは非正規になりやすいです。同じ仕事をしていても、正社員と非正規社員では賃金格差が大きく出てきます。

非正規雇用の人の中には、不安定さや低賃金を理由に結婚を諦めたり、子育てをしながらの生活が苦しかったりする場合があります。また、昇給やボーナスが望めない非正規労働ではやりがいを見いだせずに仕事へのモチベーションが保てない人や正規労働者からの不当な扱いに失望する人もいます。

企業にとって非正規労働者は人件費を抑制したり、忙しい時だけ雇って必要が無いなら切ったりできる都合の良い人材という認識である場合が多く、雇用形態による待遇格差を解消するのは簡単ではありません。

2020年適用予定の同一労働同一賃金

働き方改革を掲げる現在の日本政府は、一億総活躍社会を目指して労働に関する様々な制度を変えていく政策を練っています。その一つに、同一労働労働賃金があります。2020年の4月から施行予定となっています。

同一労働同一賃金の目的
正規と非正規間の不合理な待遇差を解消すべく施行するものです。正規労働者と同じ仕事をして同じ責任を背負っている非正規労働者の待遇を改善し、非正規雇用であっても仕事内容や賃金に納得して自由に働くことができるようにします。

改正内容
主にパートタイム労働者、派遣労働者、有期雇用労働者を対象にした改正内容です。企業内において、正規労働者と非正規労働者の基本給や賞与、各種手当に関する不合理な待遇は禁止されます。

正規労働者と職務内容が同じ場合は待遇を平等にすることや行政ADRという裁判外紛争解決手続きの利用ができるようになります。厚生労働省のサイトには同一労働同一賃金のガイドラインが掲載されています。

同一労働同一賃金のメリットとデメリット
今まで非正規労働者として働いてきた人は、頑張ることで賃金アップが期待できるようになるので仕事へのやる気がアップしたり、家計にゆとりができたりするメリットがあります。

また、会社において教育を受ける機会に恵まれることでキャリアアップを見据えて仕事に取り組めるようになり、能力を最大限に活かせることで企業への貢献も期待できるようになります。

デメリットとしては、人件費が高くなってしまうことです。人件費を抑えるために非正規雇用を採用していた企業は、逆に同一労働同一賃金によって人件費が高騰し、正規労働者の賃金に影響が出てくる可能性もあります。

同一労働同一賃金に関する企業の対応

2020年の同一労働同一賃金適用にあたって、多くの企業で対応を迫られることになるでしょう。同一賃金同一労働はヨーロッパのモデルを取り入れているため、日本での導入は難しいところもあると指摘されています。

企業は、正規労働者と非正規労働者の仕事をはっきりと区分することで仕事に応じた賃金を支払えますし、労働者も納得しやすいです。

また、正規労働者と非正規労働者が同じだけの責任を負って同じ仕事をしているかどうか、仕事に対して適切に賃金が支払われているかどうかの調査部署を設けるなどの準備も役に立ちます。

場合によっては正規労働者の賃金削減や従業員削減も考えなければならないため、企業は事前に慎重に準備を進めていかなければなりません。

(画像は写真ACより)

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