個人の働き方が変わる!短時間「プチ勤務」

2019.04.02
「プチ勤務」とは

最近、「人手不足で昼の営業を中止します」といった案内を見かけることが多くなってきました。経済が比較的堅調であることから、産業界の人手不足が慢性的になってきています。

それに対して、主婦やシニアなど、働きたいという希望を持っていても、家事や子育てなどで希望の仕事に就けない方も多く、その受給ギャップを埋めるような「プチ勤務」といった勤務形態が最近増加しています。

「プチ勤務」とは、企業サイドが通常の業務シフトの細分化と業務の細分化を進め、短時間で働ける「プチ勤務」という就業形態を産み出しました。この終業スタイルが、仕事を求めていた主婦やシニアにマッチすることになりました。

就業ニーズ

日本の就業構造は少子化、高齢化の中で変貌しつつあります。少子化で若年層の減少が進み、2015年には団塊世代が全員65歳を超えることになり、労働生産人口は確実に減少します。人手不足は、企業の戦略実行に足かせとなり、極端な場合、人手不足で倒産なども想定されます。

また、期待される女性の活躍推進に関しても、主婦を中心とした就業の実態は、本来の就業ニーズに比べて、300万人以上の需給ギャップが存在すると言われます。このような受給ギャップを埋めていくために、主婦やシニア層を対象とした就業需要の開拓が不可欠でした。

主婦やシニア層のニーズを調査すると、働きを求める人たちの思いは、収入の確保は当然ですが、仕事を通じて仲間や生きがいを確保したいといった願いがピックアップされてきました。また、就労を妨げているのが、主に時間的な制約であることもわかりました。

進む短時間化

実際の就業実態を調査しても、この傾向が顕著になりつつあります。就職情報誌・タウンワークの調査によれば、週の勤務日数が1日・2日や、労働時間が1時間~3時間の短時間勤務が増加しています。

コンビニエンスストアやディスカウントストア、ガソリンスタンドなどでは、短時間勤務が5~6%増加しています。

ディスカウントストアのドン・キホーテでは、従来営業時間内に行われていた、商品陳列業務を切り出して、開店前の2時間業務にすることで、あたらしい職種「ライジングクルー」を創設しました。

ライジングクルー導入によって、午前中の売り上げが5~10%程度成長しています。ライジングクルーの導入効果は、売り上げ拡大だけでなく、社内コミュニケーション面でも、挨拶が自然に増えるなど、プラス効果をもたらしました。

ガソリンスタンド業界では、早朝の開店準備を切り出して、社員の負荷を少なくしています。介護業界でも、主婦の就労に適した労働時間を設定しました。介護業界では、プチ勤務を進めるにあたって、資格を必要としない業務から進めています。

プチ勤務のメリット・デメリット

プチ勤務を導入することによって、企業サイドとしては、人手の足りない時間帯の補完ができることが最大のメリットです。具体的には「ランチ」や「ディナー」など、接客時間が限定できるフード業界などには適しています。

24時間営業のコンビニエンスストアも、比較的人手が集めにくい早朝深夜の働き手を、1日3時間適度のプチ勤務で確保しています。また、社会との接点が得られるという点でもワーカーから評価されています。

反対にデメリットとしては、失業保険、労働保険に加入していないこと、自宅から遠い場合は拘束時間が相対的に大きな割合になること。自治体によっては居宅該労働と認めないところもあるといった課題もあります。

また、シニアの場合は視力などの関係で、見やすい書体や大きさ、照明等の環境を用意するなど、ユニバーサルデザイン的な改善が望まれます。

(画像はイメージです)

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石藤明人
石藤明人