2019年4月「働き方改革」、高度プロフェッショナル制度とは

2019.02.01
高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度は、労働の価値を時間と切り離して管理する考え方です。現代の企業の従業員は、管理職と非管理職で構成されていますが、非管理職の人は基本的に時間という軸で給与をもらっています。

また、管理職は残業手当がつきませんが、管理職手当が加わることで、俯瞰してみるとやはり時間という要素とは無縁でありません。

2018年6月に参議院で可決成立した、高度プロフェッショナル制度とは、高度な知識を有し、一定水準の年収を得る労働者を労働時間規制から除外する仕組みです。

高プロの労働者は、時間外や休日の労働に対して、割増賃金を受けませんが、その分、自由な時間で働くことが認められます。

ホワイトカラーエクゼンプション

高プロは元々ホワイトカラーエクゼンプションとして提案されたもので、米国からの導入要請もありました。

一律に時間という物差しで測ることのできない、有能な専門職を対象に導入される仕組みで、時間外労働や休日出勤に対する割増賃金を支払う必要がなくなります。

高プロの導入には、これまでの、日本の労働者の働き方を改革する必要性がありました。「成果より時間」を重視する働き方や、仕事が終了しても周りを気にして帰らない「付き合い残業」などが代表です。

結果として基本給が増えないことによる「生活残業」などによって、日本企業の労働生産性が、G7の中でも最低水準であることからの脱皮を目指しています。

成果主義は共通ですが、高プロが以前から導入されている「裁量労働制」と異なるのは、労働基準法の労働時間や休憩・休日規制が適用されません。

それに対して、「裁量労働制」は、労働時間の計算を「みなし時間」によって行い、22時以降、翌朝5時までの深夜労働が発生した場合、深夜手当などの割増賃金が発生することです。

高度プロフェッショナル制度の対象者

高プロの対象者は労働時間と生産性の関連性が低いと思われる、金融商品の開発や、ディーリング業務、企業や市場などのアナリストやコンサルティング、研究開発業務などを導入の対象として想定しています。

平均月収の3倍にあたる、年収1075万以上の労働者に対して導入されるので、現実的には限られた人しか対象にはならないと思われます。また、導入に際しては、書面にて業務の範囲を明確にする必要があります。

また、導入に際しては、以下のような健康面での配慮を労使で選択することを盛り込んでいます。具体的には4週間に最低4日、年間で104日の休日確保、退勤から出社までの一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル」、2週間連続の休暇、臨時の健康診断などが想定されています。

高プロ導入のメリット、デメリット

高度プロフェッショナル制度の最大の目的であり、メリットは労働生産性の向上です。無駄な残業の削減による効率向上とコスト削減が可能になります。時間に縛られていた日本企業の働き方を改革し、日本企業の地位向上と、労働者の収入アップを目指しています。

少子化、高齢化によって労働力不足が顕在化しており、女性の活躍推進が求められています。高度プロフェッショナル制度は、出社や退社時間を自由に設定することができるため、育児や介護などを抱える人たちのワークライフバランス的を高める効果があります。

反対にデメリットとしては、海外企業のように労働者の役割が明確に定義されていない日本企業の場合、成果の判定が難しく、適切な報酬に結びつかない恐れがあります。また、短期的に成果の上がらない開発業務などは、評価基準が難しい側面をもっています。

まとめ

高度プロフェッショナル制度を活かすためには、日本企業がこれまで培ってきた、働き方を企業と労働者が共にリセットする必要があります。現実面での導入に関しては、企業体質の変革や労使の意識合わせが必要になります。

(画像はイメージです)

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高野勤一
高野勤一