ペーパーレス化に再注目!オフィス改革

2019.02.01
3度目の正直“ペーパーレス”

「ペーパーレス」というキーワードは、70年代から何度となく企業や国の政策として遡上にのぼりましたが、成功している例はほとんど皆無と言ってよいでしょう。

ペーパーレスが叫ばれるのは、コンピュータやIT技術の発展、オフィスにおける大量消費に対する環境・資源問題が中心でした。

この時代のペーパーレス化が成功しなかったのは、まだ電子データが正式資料として認められていなかったことや、スキャナなどの電子データの入力デバイスが普及していなかったこと、メモリーデバイスの容量やコストの問題、そして、ネットワーク技術が普及していなかったことが大きな要因です。

ペーパーレス化が動き出した

しかし2010年代に入って、変化がでて来ました。大量に紙を消費する新聞や雑誌メディアの発行部数の減少に加速が加わりました。

日本新聞協会によれば2010年に4900万部あった新聞は、2018年には約1000万部減少しました。日本の出版社の稼ぎ頭である雑誌も2018年に初の対前年2桁部数減となる-10.8%を記録しました。紙メディアのデジタル化が顕著になっています。

そして、ビジネスの現場でもペーパーレスが叫ばれるようになりました。それは、デジタル技術の進歩や環境問題ではなく、実は働き方改革の一環でした。

働き方改革とペーパーレス

自動車メーカーのトヨタは、業務上の書類はA3、あるいはA4一枚にまとめるという習慣が企業文化の中に根付いていますが、多くの日本企業はちょっとした内部会議でも、大量の報告書や資料を用意するのに慣れっこになっています。

意思決定のための会議ではなく、情報共有化のための会議になってしまい、結論を持ち越して終了し、時間だけを浪費することになります。

日本企業はあまり従業員の役割を分担せず、全員一致と言ったコンセンサス重視のマネージメントが中心です。その結果、意思決定の遅れや、タイミングを失することが少なくありませんでした。

こうした、日本企業のワーキングスタイルを変革しようという動きが、新しいペーパーレスの動きに繫がっています。コンピュータに慣れ親しんできた若者は、Officeソフトを縦横無尽に使い倒します。いつしか、意思決定の目的が書類づくりに変化していることもあります。

デジタル技術が後押し

この書類づくりの時間を本来必要な作業に振り向けることで、生産性の向上が期待されています。

都合のよいことに、モバイル技術やクラウド技術の進歩は、いつでもどこでも仕事に取り組む環境を作り出しました。外回りの営業もいちいち会社に戻ることなく、モバイルデバイスで報告書をまとめることができます。ペーパーレスと働き方改革が連動します。

2005年に施工されたe-文書法により、従来のように紙で保存する必要のない書類も増えてきており、国税庁関連では、電子帳簿保存法も改正されています。紙で保存する必要がなければ、従来の紙資料の保存スペースも削減でき、稟議書を持ち回るような無駄な労力を削減できます。

このように現代のペーパーレス化は働き方改革の1丁目1番地になりつつあります。ペーパーレス化によって実現できるのは、時間と空間をより自由に活用できることです。電子化データはいつでも修正できるので、好きな時、好きな状況で会議や打ち合わせも開催することができます。

まとめ

働き方改革では、同一労働同一賃金、長時間労働の是正、柔軟な労働市場や企業慣行の確立が求められています。

この中で長時間労働の是正に貢献するのがペーパーレス化です。やみくもにペーパーレス化を進めるのではなく、本当に必要なものを選択して、不要な情報を整理して、デシジョンフローにそった、合理的なペーパーレス化が成功へのキモになります。

(画像はイメージです)

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高野勤一
高野勤一