2019年4月「働き方改革」、年次有給休暇の取得義務化とは

2019.02.01
労働基準法の改正

2019年4月1日から有給休暇の取得が義務化されます。国の働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、全ての企業を対象にして、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇のうち、年5日は使用者が時季を指定して、取得させることが義務付けられるようになりました。

航空券やホテル予約情報サイト・エクスペディアの「世界19カ国 有給休暇・国際比較調査2018」によれば、19カ国の中で、日本の有給取得率は最下位にあまんじています。

なかでも、欧州のフランス、スペイン、ドイツや南米のブラジルは100%取得しており、日本以外の各国は最低でも70%以上の取得率で、日本だけが50%と突出しています。

労使の意識改革が必要

低い有給休暇取得率の背景には、日本人の中に、「休み不足」という意識が希薄であることや、休むことに対する罪悪感、上司の理解・協力がないことなどがあげられています。年間に1日も有給休暇を取らない人が全体の15%もいるという点では、特異な国と言ってよいでしょう。

本来、有給休暇は労働者の自由意志で取得するのが基本ですが、このような現実の中では、何らかの措置が必要であり、労働基準法の改正もこのような労働環境を見直すための手段として導入されました。

5日間であっても、義務化されることで日本人の働き方や意識の改革を進めることを目指しています。休むことへの抵抗感や、休む人がいても仕事に支障がない体制づくりが求められているのです。

有給休暇の時季指定

具体的には、年次有給休暇を付与した日から、1年以内に使用者が時季を指定する必要があります。

ただし、有給休暇を5日以上取得した労働者、あるいは取得日数と計画的付与を併せ5日以上の人に対しては時季指定の必要性はありません。5日以下でも既に有給休暇を取得した人には、その日数に合わせて、残りの時季指定を行います。

時季指定に関しては、労働者が使用者に申し出て指定するのが原則ですが、今回の労働基準法の改正に伴って、使用者が労働者に時季を指定することが可能になりましたが、あくまでも労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で指定する必要があります。

この法律の適用を受けるのは、正社員だけではありません。入社後6ヶ月が経過した週30時間以上勤務パートタイマーや、入社後3年半以上経過した週4日出勤のパートタイマーや、入社後5年半経過した週3日出勤のパートタイマーも対象になります。

個別指定方式と計画年休制度

今回の改正は、大企業、中小企業の区別なく適用されます。企業サイドの対応としては、個別指定方式ないし、計画年休制度の導入が基本になります。

個別指定方式は労働者一人ひとりに対応する方式で、個人の意思や都合に柔軟に対応できます。ただ企業にとっては、管理が難しく、記録を3年間残す必要があります。

対して、計画年休制度は会社が従業員と労使協定を結び、あらかじめ日程を決めて有給休暇を取得するようにします。工場などの現場に向いた取得制度ですが、働き方改革の趣旨としては異論もあります。

この制度のメリットは、個別指定方式に比べて、管理がしやすい点と、個別指定方式に比べてトータルの取得日数が増える傾向にあります。

義務違反に対する罰則規定

今回の改正で、有給休暇の指定をせず、義務違反となった場合は、30万円の罰金となります。

先進的な企業は既に対応を進めており、本田技研工業は東洋経済の「会社四季報」のデータを元にした「有給休暇取得率の高い企業ランキング」で7年連続首位に輝き、最近の取得率はほぼ100%に近づいています。

公的な罰則だけでなく、最近の企業評価ランキングや優秀企業の選定には不可欠の指標となり、企業ブランドなどにも影響を与える指標として重要視されるものと思われます。

(画像はイメージです)

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高野勤一
高野勤一