組織で優れた業績を残しつつ子育てなどもする「イクボス」の増加
2019.01.21
共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立=WLB)を考え、私生活や社会活動といったことを満喫している上司(経営者・管理職)を、「イクボス」と呼び、認知度とともにその数も増加してきています。
「笑っている父親」を増やすことが、「働き方の見直し」や「企業の意識改革」、「社会不安の解消」、そして「次世代の育成」につながっていくとして、様々な事業を展開するファザーリングジャパン(以下、FJ)が、2014年2月に「イクボス」の定義を明確にし、「イクボス養成講座」などを開講しています。
「イクボス」というワードは、2013年2月に群馬県庁で行われた「イクボス養成塾」において誕生しました。日経新聞やアエラ、NHKクローズアップ現代など、多数のメディアも「イクボス」について紹介。大企業などによるイクボス企業同盟が結ばれているほか、12県の知事も、合同イクボス宣言を行っています。
FJは働き方や子育てと仕事の両立に理解のある上司の理想として、「イクボス10か条」を作成。部下が子育てだけでなく、介護・地域活動に時間を割くことへ理解を示し、差別せずに積極的に推奨していくことなどが記されています。
また、部下が育休といった休暇取得を取りやすい環境の構築に加え、休暇の取得をさせるだけでなく、復職がスムーズに行えるようにサポートする姿勢も大切。そのためには、「イクボス10か条」の「6.業務」にあたる“育休取得者などが出ても業務が滞らないよう、情報共有チームワーク醸成などの手段を講じていること。”も求められます。
これに関連し、森まさこ消費者行政兼・男女共同参画・少子化担当相も、2013年3月19日に消費者庁の人事評価を改定するとし、育休取得者とその上司などの査定アップを公表。6月11日には、「イクボス」を増やすとしており、育休取得がプラス評価につながる仕組みを構築しました。
「イクボス」の拡大で、部下や上司は子育てや地域活動などを通じ、視野や人脈が広がり、効率的な働き方が可能になるほか、対話力や育成力、組織運営力を身につけられます。
上司の固定化した「価値観」や「仕事のやり方」、「男女の役割意識」によって、脱“超長時間労働”などの妨げとなり、出産及び介護離職者の増加につながります。
「イクボス」の存在によって、社員の満足度・健康度・愛社精神などが高まり、組織の生産性向上と利益拡大、離職者の減少に寄与するため、WLB(イクボス)と業績は、対立するのではなく比例すると考えることができる。
また、固定観念がなく柔軟性に富んだ「イクボス」には、優れた女性や若手の人材が集まる傾向にあります。若手の人材によって組織が元気になったり、長期的戦略が立てやすくなったりするほか、新しい発想などを取り入れることが可能。
また、家計支出の74%は、妻(女性)の意思決定によるもので、女性の人材が集まることで市場ニーズがつかめるようになるなど、経営戦略において、若手や女性の人材は大きな力となっていきます。このような観点からも、「イクボス」が様々なソリューションを生み出していくことが分かります。
(画像はファザーリング・ジャパン ホームページより)
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