労働力不足で注目が高まる「出戻り制度」を考察

2018.11.29
出戻り社員の受け入れは、賛否両論に

労働力人口が減少している状況において、新規の採用は難しい状況と言えますが、そのようなとき、企業にとって救いの手を差し伸べる存在が、退社した後に再度入社する「出戻り社員」です。

貴重な働き手と言える出戻り社員ですが、出戻り社員の受け入れについては、企業内で賛否が分かれるところです。そこで、出戻り社員を受け入れるメリットとデメリットについて詳しくみていくことにしましょう。

出戻り社員を受け入れるメリットは?

出戻り社員を受け入れるメリットは、即戦力として期待できることです。

出戻りで入社した社員は、業務内容を良く理解していることから、企業の貴重な戦力となることが期待されます。

また、出戻り社員は、新入社員や中途入社の社員のような教育がさほど必要ない点もメリットとなります。

退社したときから出戻りとして再度入社するまでの間に、企業の働き方に変化が生じていれば、ある程度の教育は必要ですが、企業の方針を理解していれば、出戻り時の教育は短時間に抑えられるため、教育コストを削減できるメリットもあります。

さらに、出戻りで入社した社員が、他の会社で働いて新しい考え方や働き方を身につけていれば、良い刺激を受けたことにより、退社時よりも仕事ができる状態となって戻ってくることがあるのです。

業務に熟知している社員を受け入れることは、企業にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

出戻り社員を受け入れるデメリットは?

一方、出戻り社員を受け入れるデメリットとしては、出戻り社員が企業の変化に対応できず、思うように結果を出しにくいことがあげられます。

時代の変化はとても早いですが、企業も時代の変化に対応するため、業務の進め方を常に改善しています。

出戻り社員としては、従来通りの働き方をすれば良いと考えているかもしれませんが、場合によっては、業務の進め方が以前と比べて大きく変化していることもあり、出戻りはしたものの、以前の企業とは別の企業のように感じられることもあるのです。

また、在籍している社員としては、出戻り自体を良しとせず、出戻り社員との間であつれきを生んでしまうことも考えられます。

出戻り社員は、立場的には中途採用と同様と言えそうですが、それにもかかわらず出戻り社員の待遇が良いと、長年在籍している社員は不満に感じてしまうことでしょう。

出戻り社員を受け入ることは、必ずしもメリットだけではないことを念頭に置く必要があるのです。

なぜ出戻りをするのか、という点を明確に

出戻り社員の受け入れは賛否両論と言えますが、出戻り社員の受け入れにおけるトラブルを防ぐためには、企業としては「なぜ、出戻り社員を受け入れるのか」ということを明確にしておく必要があります。

出戻り社員を受け入れる理由としては、即戦力の欲しさがあげられますが、特に明確にしておきたいことは「なぜ、一度退職した社員をもう一度受け入れるのか」という点です。

それを明確にするために、出戻り社員の採用において「なぜ、もう一度入社するのか」ということを質問しておきましょう。

例えば、結婚や介護など、家庭の事情によって退社せざるを得ない状況となり、その後、家庭の事情が落ち着いてたので、「これまでの経験を活かして再入社したい」という理由であれば、入社後に問題が発生しにくいと言えます。

また、退社後に別の会社に転職し、その後出戻りをしようとしている社員の場合、入社理由があいまいであれば、問題が発生する場合があります。

そのような場合は、出戻りをしようとしている社員が、退社前と比較して人間的に成長したかどうかが判断のカギとなります。

なぜなら、成長を遂げた社員は、企業の業績に恩恵をもたらすだけでなく、良い人間関係を構築して企業のモチベーションを高める効果も期待できるためです。

労働力不足の状況において、出戻り社員は貴重な存在と言えますが、むやみに採用するのではなく、出戻り社員の人間性や成長度合いを考えて採用することが、出戻り社員の受け入れを成功させるポイントと言えるでしょう。

(画像は写真ACより)

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