改めて確認!有期雇用契約で定められている内容とは?

2018.10.08
改正労働契約法の施行で、有期雇用契約も変更に

雇用形態を大まかに分けるとするならば、「正社員」と「パート・アルバイト」となります。正社員は長期間にわたる雇用が保障されていますが、パートやアルバイトの場合は、正社員と比べると長期にわたる雇用が保障されているとは言えない状況です。

パート・アルバイトのような雇用契約は「有期雇用契約」と言われていますが、有期雇用契約にはどのような特徴があるのでしょうか。雇用する立場として、有期雇用契約の内容を理解しておきましょう。

有期雇用契約とは?

有期雇用契約について簡潔に説明すると、労働者の雇用期間が定められている契約のことです。

有期雇用契約においては、多くの場合、契約期間が1年間となっていますが、契約内容によっては、6か月間、あるいは3年間の場合もあります。

有期雇用契約を締結する労働者としては、パートタイマーやアルバイトのほか、定年後に非正規社員として働く形態の「嘱託社員」や、正社員とパートタイマーの中間として位置づけられる「準社員」も含まれます。

有期雇用契約の特徴としては、有期雇用期間中であれば原則として雇用が守られることがあげられます。

また、契約期間が終了した場合は、「更新」という形をとって労働者を引き続き雇用することが一般的です。しかし、場合によっては、契約期間の終了を機に使用者が労働者の雇用を更新しない場合もあるのです。このような事例を「雇い止め」と呼んでいます。

法改正で定められた「無期労働契約への転換」とは?

有期雇用契約は、労働契約法に基づいた内容となっていますが、改正労働契約法は、平成24年(2012年)に公布され、平成24年から平成25年(2013年)にかけて段階的に施行されました。ここでは、改正労働契約法の具体的な内容についてみていくことにしましょう。

改正労働契約法では、大きく分けると3つの内容が改正されていますが、1つめの内容としては、「無期労働契約への転換」があげられます。

この内容について簡単に説明すると、雇用期間が定められている有期雇用者であっても、最低5年間契約を更新し続けることによって、雇用期間が設定されない労働者に変更できることを指します。

有期雇用者にとって不安なことは、契約更新のタイミングで使用者から雇い止めされてしまうことですが、雇用期間が設定されない労働者に変更できれば、雇い止めの不安から解放されることになります。

無期労働契約への転換を行う場合は、最低5年間契約を更新し続けることが条件となります。ただし、5年間契約を更新し続ければ次回の契約から無期労働契約に変わるのではなく、次回の契約中に無期労働契約に変更するための申込を行う必要があります。

申込を行えば、申込後の契約更新の時点より無期労働契約に変更となります。

なお、労働者が申込をした時点で、使用者は労働者が無期労働契約に変更したことを認めることになります。見方を変えれば、使用者は、無期労働契約に変更するという労働者の申し出を拒否できないことになるのです。

法改正で、有期雇用者が働きやすい状況が実現

そのほかの改正内容としては、「雇止め法理の法廷化」と「不合理な労働条件の禁止」があります。

「雇止め法理の法廷化」について簡単に説明すると、有期雇用者の契約期間が終了した時点において、使用者は明確な理由がなければ雇用者を雇い止めすることができない状態を指します。

例えば、これまで使用者が有期雇用者の契約を毎回更新してきたにもかかわらず、今回の更新では明確な理由がないのに有期雇用者の契約更新を行わない、ということは法改正により認められなくなったのです。

次に、「不合理な労働条件の禁止」とは、労働者が不利な労働条件で働くことのないように、労働者を守るために定められた内容のことです。

労働条件が不合理であるかどうかを判断する基準としては、職務の内容が労働者にとって過大な負担となっているかどうか、という点や、実際の職務内容から大幅に逸脱した職務の変更、人事異動が発生していないかどうか、という点などがあげられます。

これらの改正内容は、有期契約者が安心して働くことができるように定められたものと言えます。雇用する立場としては、労働者にとって働きやすい環境を提供できるように、労働契約法に則した企業運営が必要と言えるのではないでしょうか。

(画像は写真ACより)

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