新たなプロスポーツ選手「プレイングワーカー」

2018.07.07
プロスポーツの世界は厳しい

華々しく輝ける世界とは色々とありますが、少年少女があこがれるものといえば、やはりプロスポーツ選手です。野球・サッカー・バレー・陸上・ゴルフなどいろんなスポーツが日本には存在しています。

しかし、これらのプロスポーツ業界において、その業界に一生居続けることができるのは一握りであり、プロとしても一流になって将来も確約されるのも一握りとなっております。この一握りにたどりつけなかった人たちは、すぐに別の世界に身を投じなければいけないのです。

特に厳しいのが、プロサッカーの世界で、なんと平均寿命がたったの2~3年で、平均引退年齢が25~26歳です。浪人して大学に入った大学院を卒業したばっかりの新人が一年目で引退するような年齢となっています。このように皆さんの予想を上回って圧倒的に寿命が短い業界がプロサッカー業界なのです。

このようにプロスポーツとして輝くことができない人が圧倒的に多いプロサッカー業界において、新しく誕生した言葉が日本フットサルリーグでプロとして活躍し続けて日本代表にも選ばれている星翔太選手が「プレイングワーカー」という言葉を作り出しました。

プレイングワーカーとは

このプレイングワーカーとはわかりやすく解説すると現役のプロスポーツ選手が社会人として一般企業でも働くスタイル、いわゆる「スポーツ選手でありながらも一企業人である存在」のことです。

野球の谷繁元信さんや古田敦也さんが、現役選手でもありながら監督をする人を「プレイングマネージャー」でした。このプレイングマネージャーという言葉から誕生したのが「プレイングワーカー」であり、現役選手をしながら働く人になります。

実際にこの言葉を作った日本フットサルリーグのバルドラール浦安にスター選手として活躍し続けている星翔太さんは、2016年から株式会社エードットにインターンとして勤めています。

根底にあるのはセカンドキャリア問題

プロアスリートの間で永遠の課題といわれているセカンドキャリア問題です。プロスポーツ選手としての活動期間は競技内容によって変わってきますが、選手寿命は圧倒的にサラリーマンの勤務期間よりも短いです。

一生働かなくても暮らしていけるだけの金額を稼げる人はごくわずかであり、セカンドキャリアも考えないといけません。しかし、そんな人たちが直面する新しい人生への門出はなかなかうまくいきません。

アマチュア選手ならば企業に一社員として所属しているので、引退後も企業側で面倒を見て貰えるというメリットがあるため、ここまでセカンドキャリア問題はピックアップされませんでした。しかし、自分で稼いで自分を鍛え上げるプロという概念が浸透したことで問題も大きくなってしまったのです。

問題が大きくなるにつれて、サッカーならば日本サッカー協会が、野球ならば日本プロ野球機構がセカンドキャリア問題に着手し支援を展開しましたが、プロスポーツ選手だったというプライドが邪魔をしてうまくいっていないのが実状です。

しかも、プロスポーツ選手は社会人として勤めた人はごくわずかでビジネススキルは新入社員クラスであるため、そこに壁が大きくできあがってしまいます。スタートラインがどうしても遅れてしまうので、プライドが高い人ほど失敗する確率が上がります。

セカンドキャリア問題解決への糸口

このプレイングワーカーという考え方がプロスポーツ選手の間にしっかり浸透することができれば、プロの世界から卒業したとしても一社会人として生きていくことができる人も増えます。

社会人としてのスキルをプロスポーツ選手でありながら身につけることができれば、プロサッカー選手といった経歴しか無い人に比べると圧倒的に有利になりますし、スポーツと社会へのつながりを色濃くすることができるようになります。

つまり、一人の人間をプロという世界に孤立させないで、社会へとつなげることができるのです。この考え方が浸透し、社会人としても成長しているプロスポーツ選手が多くなれば、セカンドキャリア問題も少なくなります。

(画像は写真ACより)

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