社員がうつになったら?会社が対処すべきこと

2017.11.03
会社が負うべき責任

合わない仕事や残業などで心身共に疲れ、うつを発症してしまう人は少なくありません。うつは本人の問題である部分もありますが、会社側には安全配慮義務や従業員の心身の健康管理を行う責任が課されています。

社員がうつを発症した場合、会社が初期症状に対してきちんと対応していなかった場合、会社の責任問題となる場合もありますから、異変に気づいたら早めに対処することが欠かせません。

うつのサイン

人は突然、重度のうつになるわけではありませんから、初期のサインを見逃さないことが大切です。うつは、その人の行動や様子に変化を与えますから、これまでと様子の違う社員を見つけたら放置せず、うつのサインがないかチェックしましょう。

うつのサインとしては、周囲との交流を避け、単独行動が増えたり、遅刻や欠勤など、勤務態度に変化が現れたりします。服装も乱れますし、仕事でのミスも増え、これまでなかったトラブルなども引きおこす可能性があります。

また、就業中の間食が増えるなど、食欲に大きな変化が現れやすいのです。また、無精髭やしわくちゃのシャツなど、服装にも清潔感がなくなり、配慮ができなくなっていきます。

こうした傾向が見受けられる場合には、うつを発症している可能性があります。

これまできちんと挨拶していた人が挨拶をしなくなったり、ランチや飲み会に参加しなくなったり、考えられないようなミスが増えてきたりしたら要注意です。

うつ病の種類

うつ病と言っても、種類は様々あります。

新型うつ病

近年話題になっている新型うつ病は、塞ぎ込んで他人との交流を絶つ、一般的なうつ病のイメージと異なります。

気分の浮き沈みが激しかったり、失敗を人のせいにしたりする他、休日は元気なのに会社に行くと症状が悪化したり、夕方特に辛くなったりします。そのため、うつ病ではなくわがままだと勘違いされやすく、治療法も確立されているわけではありません。

五月病

また、うつ病ではありませんが、似たような症状を引きおこす者に五月病があります。連休明けに会社に行きたくなくなるのが特徴で、疲労感や胃痛、不眠などの症状を引きおこします。

新入社員がなりやすく、入社してから最初の1ヶ月を頑張ってしまい、環境の変化などについていこうとしたものが、連休で緊張の糸が切れてしまうことで引きおこされます。

特にやる気がみなぎっていて、頑張り屋な人ほどなりやすいと言われています。

うつ病

よく言われるうつ病は、真面目な人や心配性な人、過去の失敗を引きずってしまいがちな人や、落ち込みやすい人などが発症しやすいと言われています。こうした人は、仕事や将来への不安、職場の人間関係などでストレスを抱え込み、うつを発症してしまうのです。

うつになった社員への対処方

うつは初期段階できちんと対処することが重要です。

うつになった人への間違った対処方

うつになると仕事の能率が落ちるため、ついつい励ましたくなりますが、うつの人に「頑張れ」などの言葉は厳禁です。かえってストレスを増長させ、症状の悪化を招いてしまいます。

また、ミスを犯す回数が増えるので口出しをしたくなる気持ちは分かりますが、うつの人を追い込んではいけません。

さらに、うつになると判断力が低下し、判断を下すことが難しくなります。意見を尊重しようとして、「好きにやっていいよ」「どうしたい?」などと判断を仰いではいけません。

病気だからと気遣う気持ちから、特別扱いするのも厳禁です。うつの人にとって、周りの気遣いはプレッシャーです。特に根が真面目な人の場合、「迷惑をかけている」と感じ、余計に追い込まれてしまいます。

正しい対応は?

では、社員がうつになったら、どのような対応を取ればよいのでしょうか?まず、なぜうつになってしまったのか、勤務時間や人間関係、仕事内容など、うつを発症した原因を知ることが大切です。

また、うつになった社員をケアするには、情報を集めることが必要不可欠です。ですから、労務や総務、人事などの専門部署と協力して情報を集めましょう。ただし、本人には気づかれないようにしましょう。

注意点として、うつで仕事ができないからと、勝手な判断で仕事を取り上げたり、仕事内容を変えたりしてはいけません。必ず本人の意向を聞き、希望する職場環境に見をおけるよう努めましょう。

また、仕事の指示はあいまいにせず、具体的に示すことがポイントです。多くの判断が必要となる仕事より、ルーチンワークや体を動かす仕事など、やることが明確になっているものが向いています。

うつ病などの精神疾患は、本人がなかなか認めようとしませんから、1度カウンセラーや医師などの専門家を尋ね、アドバイスを求めることも重要です。

会社も本人も素人ですから、専門家にきちんと診断してもらうことにより、精神疾患であることがはっきりすれば、対処もしやすくなります。また、本人を交えることで、本人に納得させて治療を進めることができます。

さらに、休職が必要かどうかの判断や、休職期間について相談することもできるので、専門家の意見を聞くことは非常に重要と言えるでしょう。

治療を開始したら

実際に休職し、治療に専念するとなった場合には、休職に関する説明や傷病手当など、必要な事項をきちんと伝えておくことが重要です。

また、休職中も定期的に連絡を取り、関係を保っておくことも欠かせません。ただし、連絡を取る中で、復帰を促すような話をしてはいけません。

休職中には他の社員にしわ寄せが行くわけですから、社員たちの不満が募り、復帰してきた時に職場環境が悪化しないよう、ケアをしておくことも重要です。

(画像はPixabayより)

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橋本宏子
橋本宏子