継続雇用制度とは?メリットとデメリットについて
2017.10.31
継続雇用制度とは、高齢者が老齢厚生年金の報酬比例部分(厚生年金保険に加入していた期間中の報酬、および加入期間に基づいて計算される部分のこと)について受給を始めるまでに必要な制度のことです。
会社により、制度の呼び方には再雇用制度と勤務延長制度という2通りがありますが、それぞれの違いは何でしょうか?
勤務延長制度は、定年年齢に達しても、退職させずに雇用し続ける制度です。雇用が延長されるだけなので、それまでの労働時間や賃金に変更はありません。また、退職金も延長期間が終了して退職する時までは支払われないのが特徴です。
なお、定年年齢を定めている企業の場合には、勤務延長制度を導入していても、定年という縛りは残っているため、定年年齢を迎えた段階で退職に関する検討は行われます。勤務延長に至るには、本人の希望と、労使協定で定められている基準に適合していることが必要となります。
勤務延長制の場合、それまでと同じ条件で働き続けられるため、給料が引き下げられない点はメリットです。ただし、これは企業側から言えばデメリットにもなりますよね。労働条件の変更が難しいために、賃金水準を抑えることができないためです。
一方の再雇用制度は、平成25年4月1日より、継続雇用を希望する人すべてに対し、65才までの再雇用が義務化されたことが背景にあります。
しかし、再雇用と言うだけあり、それまでの条件とは異なる条件で働くことになる現状があり、それまでの勤務形態や職務内容が変わり、支払われる給料の額も変わってくるのが現実です。
再雇用制度の場合、かなりの割合で労働条件の引き下げがあるため、企業側としては賃金水準を抑えることができ、会社の負担を減らせるメリットがあります。ただしこれは、雇用される側からするとデメリットでもあります。
労働条件が変わることによって賃金が引き下げられ、それまで通りの給料を受け取ることができなくなるためですね。
特に、勤務時間や勤務日数が変わることによるデメリットは大きいと言えるでしょう。対象者が雇用保険や社会保険に加入できないこともあり、それ故に高年齢雇用継続給付の支給もされないケースが多いためです。
また、社会保険に加入できたとしても、それにより老齢年金の支給額が減ることもあるので注意が必要です。
さらに、再雇用の場合には、雇用の更新が1年単位に変わるケースが多いため、更新がされなければそこで雇用打ち切りになるリスクもあります。
雇用の上限も「65才に達するまで」であったり、「厚生年金の支給が開始されるまで」であったりと、企業によって異なるため、事前に会社に確認を取っておくことをおすすめします。
そして、勤務延長制度、再雇用制度どちらにも言えることとして、対象者の基準を設けられるため、基準に満たない場合には雇用されないという可能性があります。
希望者すべてが雇用を延長されたり、再雇用を受けられたりするわけではないことを理解しておきましょう。
このように、継続雇用制度には2通りあり、それぞれにメリットやデメリットがあります。事前にどのような処遇になっているのかを把握しておくことで、再雇用を選ぶのか継続雇用を選ぶのか決める時の目安になるでしょう。
年齢はどんなに優秀な人でも抗うことのできない問題です。あとあと後悔しないためにも、対象者の条件など、きちんと自分の目で確かめておくことが重要です。
(画像はPixabayより)
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