1分の遅刻で減給?これってアリ?
2017.10.27
お給料の明細を見てみたら、いつもより金額が少なく、お給料が減っている理由を思い出してみると、ほんの少し遅刻したということが思い当たったという人も中にはいるかもしれません。
「ほんの1、2分の遅刻くらしかした記憶がない」「あれくらいなら大丈夫では?」と思っている人も少なくないでしょう。大幅な遅刻ならまだしも、ほんの数分の遅刻で給料を減らされると、「違法ではないか?」と考えてしまうのも自然なことです。
では、1、2分の遅刻で給料を減らすことは、法律上認められているのでしょうか?
結論から言うと、遅刻によって仕事をしていない時間の賃金は払わなくても法律違反ではありません。
遅刻や早退などをして仕事をしていない時間がある場合、原則として、その期間の賃金は、原則として支払わなくてよい、というものがあります。これをノーワーク・ノーペイの原則と言います。遅刻で減給になるのには、こうした理由があるのです。
こうした対価としての賃金以外に、制裁の意味合いで減給できる仕組みもあります。遅刻や早退、欠勤などに認められ、就業規則に懲戒処分の1つとして定めておき、遅刻などをした従業員に制裁を加えるというものです。
これには決まりがあり、1回の制裁で、平均賃金1日分の半額を越えてはいけません。
さらに、制裁が複数回にわたって下される場合には、月給ならば1か月、週休ならば1週間に支払われる総賃金の10分の1を超えて減給することはできないと定められています。
例えば、1日の平均賃金が1万円、月給にして20万円の場合、1回の制裁で減給できる限度額は5000円、複数回にわたる制裁の上限額は2万円となります。
遅刻が多いからと言って、この上限額を上回る減給は違法になります。
ノーワーク・ノーペイの原則を用いるか、減給の制裁を加えるかは、その会社の就業規則によります。
就業規則に「遅刻や早退、欠勤をすると減給の制裁を課す」ということが記載されている場合には制裁規定を適用し、特に定められていなければノーワーク・ノーペイの原則が適用され、会社にいなかった時間の分の給与が支払われないということになります。
就業規則にどのように定められているのかを把握しておくことが大切です。
このように、給与が減っている場合には、就業規則に則った制裁措置か、ノーワーク・ノーペイの原則による給与カットが行われています。
しかし、中には10分の遅刻でも30分間の給与カットがされている場合もあります。これは違法ではなく、会社によっては給与の支給が30分単位などと定められていることがあるからです。
30分単位などとする理由は事務処理上の都合ですが、内訳としては、10分の遅刻(ノーワーク・ノーペイの原則)+制裁による20分間の給与カット、ということになります。
給与の支給は会社によって、5分単位で計算されていたり、15分単位、30分単位であったりと、異なります。事前にどのような単位で支給されているのか把握しておくことで、トラブルを避けることができます。
もちろん、こうした給与カットの対象にならないものもあります。電車の遅延や運休、自然災害など、不可抗力による遅刻です。
こうした場合には、遅延証明書を提示することで給与カットを免除される可能性があります。この場合にも、事前に、遅刻による給与カットの条件などを知っておくことが重要です。
(画像はPixabayより)
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