有給休暇が減る?おかしいなと思ったら取るべき対策
2017.09.29
有給休暇というのは、従業員がきちんと休養し、疲れを取って再び元気に働くことを目的とした制度です。
全労働日の8割以上出勤していれば、働き初めてから6ヶ月後から取得することができます。
もらえる日数は初年度に10日、1年と6ヶ月で11日、2年6ヶ月で12日、3年6ヶ月で14日、4年6ヶ月で16日、5年6ヶ月で18日となり、6年6ヶ月以降は20日ずつもらうことができます。
さらに、付与された有給休暇は2年間有効となり、この期間内ならば、使い切らなかった有給休暇は蓄積されていきます。
たとえば、初年度に10日付与された内、8日消化したとすれば、翌年度には11日+2日(前年度分)で、合計13日の有給休暇が残る、というわけですね。
有給休暇は、仕事を休んでも出勤したのと同じ扱いをされるので、給与を受け取ることができます。
ただし、給与の計算方法は会社によっても違うので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
計算方法は以下の3パターンに分かれています。
1つ目は、通常勤務と同等の給与で、通常勤務を行ったのと同じだけの給与が支払われます。
ただし、通勤手当がある場合には、実費支給という形なので差し引かれます。
2つ目は、労働基準法で定められた平均賃金です。
計算方法は、有給休暇を取得する直前の締め日から前3ヶ月分の給与の総額を、総日数で割って計算します。
この場合、ボーナスや弔慰見舞金、労災や産前・産後休暇などは除かれます。
3つ目は、健康保険法によって定められた標準報酬日額に相当する金額を支払う、という方法です。
ただし、この方法は金額に上限があり、労働者によっては振りに働く場合もあるため、採用前に労使協定を結ぶ必要があります。
有給休暇が減るのは、通常であれば消化した場合ですが、実は、消化していなくても有給休暇の残数が減ってしまうことがあります。
有給休暇の減り方として注意したいのは、今年の分から減っている場合です。
通常ならば、前年の残り日数2日+今年の残数11日であれば、先に前年の残り日数から減っていきますよね。
しかし、場合によっては今年の残数から減っていくことがあります。
前年の残り日数2日はそのままに、今年の11日からどんどんマイナスされていくわけですね。
このパターンで危惧しなければならないのは、有給休暇の保持期限です。
有給休暇を付与されてから2年で、有給休暇は消えてしまいます。
つまり、今年の分から消化されていくと、有給休暇を使い切れなかった場合、前年の2日が無駄になってしまうと言うわけですね。
さて、このように、消化される有給休暇が前年度分からなのか今年度分からなのかで、使える有給休暇の日数にも大きな違いが現れます。
まず、前年分から消化されるパターン1を見ていきましょう。
去年の残り日数が10日あり、今年は11日有給休暇をもらった場合、合計日数は21日となり、そこから7日有給休暇を消化すると、去年の残りが3日(-7日)+今年が11日で、合計は14日となります。
一方、今年の分から消化されるパターン2では、21日の有給休暇から7日消化した場合、去年の残り10日+今年の残り4日(ー7日)=14日となります。
これだけでは合計の残り日数に違いはありませんが、有給休暇は2年で消失するということを考慮してみてください。
もしも有給休暇を消化しないまま期限を迎えた場合、パターン1の場合には消失するのは3日で、残り日数は前年の11日+今年の分12日で、合計23日となります(前々年の3日が消失)。
しかし、パターン2の場合では、前々年の10日が消失し、前年の4日+今年の12日で、合計は16日にしかなりません。
このように、いつ付与された分から消化されるかによって、翌年に使える有給休暇の日数に開きが出てしまうのですね。
ちなみに、今年の分から消化させること自体は違法にはならないので、不服を訴えることはできません。
自分がどちらのタイプなのかをきちんと把握し、使わないまま有給休暇が消えてしまわないように、計画的な消化が大切です。
もちろん、正社員だけではなく、パートやアルバイトの人でも有給休暇をもらえる場合があります。
ただし、週に4日以下、または1年に48~216日働いている人に限るという条件があります。
この場合、週または年間で働く日数が減ればもらえる有給休暇も日数も減りますので注意が必要です。
もしも今年に入って有給休暇の日数が減っていると感じたら、前年度に全労働日の8割以上出勤していなかったか、出勤日数が減った可能性がありますので、確認してみるとよいでしょう。
(画像はPixabayより)
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