管理職は残業代をもらえない?正しく理解したい労働基準法

2017.09.29
管理職は本当に残業代がもらえないのか?

職場で管理職に就くと、何かと仕事が増え、監督責任も出てきて非常に大変ですよね。

管理職というのは、周りをきちんと管理する仕事でもありますし、自分自身の立場や仕事量などをきちんと理解していないと、仕事とプライベートのバランスを崩しやすい立場とも言えます。

仕事をする上で気になるのが残業代でしょうが、「管理職だから残業代が出ない」という話を耳にした人は多いのではないでしょうか?

一見するとなるほどと納得してしまいそうですが、これは本当に正しいのでしょうか?

正しく理解し、理不尽な働き方をさせられないよう、自分の身は自分で守るようにしましょう。

管理職についての定義

管理職の残業代に関しては、労働基準法41条に定められています。

「監督管理者については残業代が支給されない」と明記されていますが、これは仕事の特徴として、労働時間による管理がなじまないためです。

しかし、管理職だからと言って、労働基準法に定められた「監督管理者」であるとは限りません。

労働基準法では、監督管理者を以下のように定義しています。

(1)職務内容:管理監督者としての職務を行っているか
(2)権限:経営方針の決定,労務管理,採用上の指揮等が経営者と一体的な立場か
(3)勤務時間に関する裁量:自己の勤務時間について裁量を有するか
(4)賃金等の処遇:役職手当などの待遇がされているか

(「弁護士が教えるトラブル解決サイトより引用)

つまり管理監督者とは、単純に店長や課長などのような、肩書きでは決められていない、ということです。

この点が勘違いされやすいポイントですから、注意しましょう。

「名ばかり管理職」に要注意

「名ばかり管理職」とは、企業側が残業代の支払いを免れるために、管理職という肩書きをつけてしまうことです。

「名ばかり管理職」に当てはまる基準としては、パートやアルバイトなどについて採用権限がない、残業を命じる権限がないなど、権限に関する特徴があります。

また、遅刻や早退において、減給などの制裁が課されていること、労働時間の裁量が実質的にない(長時間労働を余儀なくされる)、時間あたりの賃金がパート以下である、役職手当などが不十分である、など、賃金や労働形態も当てはまります。

つまり、管理職と言われながら裁量労働制でなかったり、もらうべき手当をもらえなかったり、権限が与えられていなかったりと言う場合には、監督管理者ではなく「名ばかり管理職」にされている可能性が高ということです。

もしも残業代の未払い分を会社に請求したい場合には、自分が監督管理者に当てはまるのかどうか、きちんと調査をしましょう。

仮に裁判になった場合でも、上記のような基準から管理監督者として認められないケースは多いようです。

本当に残業代をもらえないことが不当ではないかどうかを、自分の目で確かめる必要があるわけですね。

管理監督者の特徴

労働基準法で「管理監督者」と定められている人については、あらゆる面で一般社員とは扱いが異なります。

1日8時間以上、週40時間以内の労働という縛りがなく、6時間以上の労働なら45分、8時間以上なら1時間といった、休憩時間の決まりも定められていません

さらに、労働基準法35条で定められている、毎週最低でも1日の休日を取るという決まりが適用されないといった特徴もあります。

管理職=ノー残業代、ではない

しかし、いくら管理監督者であろうとも、午後10時から午前5時の時間帯に働く深夜労働に関しては、管理職でない人と同様に割増賃金を支払わなくてはなりません

管理監督者だから残業代が一切もらえないわけではありませんから、うっかりしないようにしましょう。

(画像はPixabayより)

記事をシェアする

高野勤一
高野勤一