退職する際に損害賠償要求!?要求される理由と事例と対応方法を教えます!

2016.01.02
退職するときに損害賠償請求される?!

近年、退職時におけるトラブルが問題となっています。その中で多いのが会社から損害賠償請求されたというものです。
労働者は期間の定めがある労働契約を除いて、退職する日の2週間前までに退職を届ければ退職することができます。しかし、損害賠償請求を武器に会社が退職を拒むことがあるようです。
実際に損害賠償請求された場合にどのように対応すればよいのか、また、支払う義務があるのか、いくつかの事例をもとに考えてみます。

試用期間中に即日退職した労働者に対して損害賠償請求できる?

2週間前に退職届を提出するという民法の規定に従っていませんので、即日退職した労働者に対して損害賠償できる可能性は少なくありません。実際に生じた損害については損害賠償請求することができます。
しかし、試用期間中となれば話は変わってきます。労働契約から14日以内は労働者も会社もいつでも退職・解雇することができます。この期間中に即日退職されても損害賠償請求することは難しいです。

就業規則に退職に関する特約がある場合

就業規則に退職の場合は半年前に届けること、これを満たさない場合は損害賠償請求できると記載があった場合に、2週間前に退職届を提出すれば損害賠償請求されるでしょうか。
就業規則の退職に関する特約は労働基準法上何ら問題ありませんので、損害賠償請求されるおそれがあります。しかし、仮に損害賠償請求されたとしても、損害賠償請求できるのは実際に生じた損害のみですので、明細を確認させてもらいましょう。それが道理にかなったものでなければ支払う義務は生じません。
また、就業規則に損害賠償額まで記載があれば、それは労働基準法違反ですので労働基準監督署に届ければ支払う義務はありません。

無断欠勤はしてはいけない

労働者は退職したい日の2週間以上前に郵送で退職届を提出しましたが、それを理由に会社から脅されるのを恐れて、退職日まで欠勤願を提出し、退職後会社より損害賠償請求されました。この場合どのように対応すればよいでしょうか。
退職届は2週間以上前に提出されているので、退職届それ自体は問題ありませんが、その後の退職まで欠勤したことが問題になります。退職日までは会社の従業員であるため、会社の許可なしに欠勤すればそれは無断欠勤となります。
無断欠勤したために会社が臨時で従業員を雇った場合、その費用を請求されれば支払う義務が生じる可能性があります。退職まで休みたければ会社の許可を得ましょう。

損害賠償請求を認めた判例がある

特定業務の担当者として雇用した労働者が退職したことによって、その業務が打ち切られたためにその労働者に対して損害賠償請求したケイズインターナショナル事件という判例があります。
この事件では会社の損害賠償請求が認められ、労働者は請求額の約3分の1を支払うことになりました。
以上のように、損害賠償請求されても支払い義務は生じない場合が多いですが、ケイズインターナショナル事件のように支払い義務が生じる場合があります。損害賠償請求されてもしっかりと対応が取れるように備えておくことが重要です。

(画像はイメージです)

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高野勤一
高野勤一