残業の限度時間が適用にならない例外とは?

2015.03.28
はじめに

労働基準法には労働者の労働時間が1日8時間、週に40時間を超えてはならないと言う定めがあることはご存じかと思います。ただし、同法の36条に定められるいわゆる「36協定」を労使間で取り決めることにより時間外労働を認めています。しかし労働省告示(現 厚生労働省)によって例外も認められています。

時間外労働の上限

「36協定」について復習しますと、時間外労働について従業員の過半数を占める労働組合、もしくは従業員の過半数を代表するものと協定を結びかつ行政官庁に届け出た場合有効となります。逆に言うと、この36協定がないところでは原則的に残業させることが出来ないことにご注意ください。

またこの時間外労働についても無制限ということではなく一定の基準が設けられています。厚生労働省の告示「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」によれば、1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間、1箇月45時間、2箇月81時間、3箇月120時間、1年間360時間という基準が設けられています。

また就業規則で1日の所定労働時間を固定せず、季節変動などを考慮して労働時間を定める「1年単位の変形労働時間制」では1週間14時間、2週間25時間、4週間40時間、1箇月42時間、2箇月75時間、3箇月110時間、1年間320時間が基準となります。したがって原則的にこの時間が限度となりこれが残業の最長時間と言うことになります。

残業時間上限の例外について

上記のような労働時間条件に馴染まない業界や業種も存在し、それらには上限の適用が除外されています。具体的には「工作物の建設等の事業」(建設業など)、「自動車の運転の業務」(運送業など)、「新技術、新商品等の研究開発の業務」(企業の研究開発部門など)が該当します。

これらの業務は事務のデスクワークなどのルーチンワークではなく物件ごと、事案ごとといった集中した仕事を必要とするためこのような例外事項が設けられています。

しかし歯止めとして労働基準法で月60時間を超える時間外勤務については50%増しの賃金の支払いが義務づけられています。過労死やブラック企業が社会問題化する中、管理者は十分に従業員のワークライフバランスや健康に留意しながら労働時間を調整しなければならないことは言うまでもありません。

まとめ

1日8時間週40時間を超える労働については36協定の締結が必要です。時間外労働にも原則的に上限が決められています。時間外労働上限の適応除外の業種・業務があります。

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佐藤幸吉
佐藤幸吉