労働者としての遵守の義務にはどんな内容が含まれているの?

2015.11.19
服務規律とは

服務規律とは、企業秩序を守るために企業が定めた労働者としての遵守義務で、就業規則の中に設けられている。多くの労働者が企業内で円滑な経営を行うため、組織の構成員として守るべきルールが定められている。

服務規律を違反した場合、企業秩序違反として懲戒の対象になりうる。では、服務規律ではどのようなルールが定められているのかをみてみよう。

服務規律の項目

・機密保持義務
労働者が職務中に知り得た情報の漏えいを禁止したことを、機密保持義務という。一般的に企業が従業員に対して、営業上の秘密を保持する義務を課すことは認められてる。しかし、その秘密が正当に秘密として保持されるかどうかということは、しばしば論点になりうる。

企業の秘密するには最低でも、企業がそのことを秘密として取り扱っており、秘密としての重要性・価値があって、公然のものとなっていないことが条件になる。例えば、会社の違法行為や不正行為を告発することは、守秘義務違反とは言えない可能性がある。一方、不正競争防止法に定められた営業秘密の漏洩に該当する守秘義務違反を行った場合、懲戒処分になる可能性もある。

・会社の名誉保持
従業員の私生活に置いても、会社の信用を損なうような行為があった場合、解雇の理由となることがある。このような行為を企業外非行といい、犯罪などの違法行為や反道徳的な社会通念上の行為、使用者から見て許しがたい行為も含まれる。

これによって、企業の社会的名誉や信用を傷つけたり、企業の業務に損害を与えた場合、解雇になる可能性がある。

・経歴詐称
労働契約を締結する際、使用者が労働者に経歴の申告を請求した場合、労働者は正しく申告に応じなければならない。学歴や職歴は、労働者の配置に大きく関わる情報で、これを詐称した場合は懲戒解雇の対象になる。

これ以外でも、詐称された経歴を事前に使用者が知っていたら採用しなかったであろう重大な事実であったならば、懲戒解雇が有効になる。よって、大卒であるのに高卒と履歴書に記入するなど、自分の能力を低く偽ることも許されないのだ。

・二重就業
法律によって二重就業の禁止が定められている公務員以外の、私企業の労働者は二重就業は禁止されていない。しかし、その兼業の程度や様態によっては、会社に対する労務提供に支障が生じるものや、会社の信用や体裁に関わる内容であったりするものも存在する。このような場合、雇用契約上の信用関係の観点から解雇が有効になる場合もある。

・セクハラの禁止
セクハラは2007年に施行された改正男女雇用機会均等法により、事業主に対して適切な措置を設けることが定められた。これによって、労働者にも企業の風紀を乱す行為として、企業はセクハラに対して厳しい規定を設けている。

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高野勤一
高野勤一