就業規則は見てますか?就業規則を徹底させる方法

2015.10.20
周知されないと意味がない

就業規則は、作って労働基準監督署に提出するに留まるものではなく、従業員が会社の方針に従って勤務する上で大変重要な役割を果たす。規則は「ある」だけでは何も意味はなく、「知られて」「遵守されて」ようやく規則を作る意味が出てくる。

就業規則は何かトラブルが発生した際に、会社を守るものだ。よって、ネット上にあるモデル就業規則ではなく、自社に見合った規則を作るべきだ。また、会社を設立したばかりのときは、顧問税理士に「従業員が10人以上になったら作ればよい」という風にアドバイスをされるかもしれない。

しかし、就業規則はつくる時期はとても重要だ。従業員を雇い入れた後に作られた就業規則は、その規則ができた後から入ってくる従業員に対してのみ有効になる。会社側は、就業規則によって従業員を縛ることになる。よって規則の制定前に入社した従業員は、その内容によっては認められない可能性が十分にあるのだ。

また使用者には、労働基準法の第106条で、就業規則の周知が義務づけられている。これを違反した場合には30万円以下の罰金が課せられてしまう。周知されていない就業規則は、無効とさえいわれている。また、就業規則を変更した場合には、変更点の周知も徹底したい。

知ってもらうための工夫

では、周知をするためにはどのような手段があるのだろうか。有効な手段はいくつか考えられる。
・従業員に就業規則を書面で配布する(ハンドブックなど)
・社員向けの説明会を開催する
・就業規則をよく見える場所に掲示する
・磁気テープやディスクに保存し、共有サーバーから閲覧できるようにしておく
・就業規則に関する相談所を設置する

みんなで考えることも大切

例えば、育児休業を制度化して就業規則に加えたことを考えよう。平成17年に改正された育児・介護休業法によって、有期契約労働者も育児休暇を取得することが可能になった、ということを知らない人は多いため、就業規則を広く周知する必要があるだろう。

しかし、いざ従業員が産休や育休に入ってから対策を講じるのでは遅すぎるし、制度を利用しづらくなる。まずは、上司が制度を利用しやすくする環境を作ることが大切である。そのためには、制度導入をきっかけに「職場で産休・育休の制度を利用する人が出たら、まわりの人はこのようにサポートしよう」というような話し合いを、職場で日頃からしておくことが大事だ。

産休・育休制度以外にも、企業はセクハラ・パワハラを行う社員に対して厳しく処分を行う姿勢でいることをアピールすることも必要だ。このように就業規則を従業員が正しく理解する環境を作り上げることで、社内の意識を喚起することが可能になるのだ。

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高野勤一
高野勤一