ミスを未然に防ぐポカヨケ対策とは?

2021.03.06

「ぼんやりしたまま仕事をしていたら、作業工程を間違えてしまった。」「繁忙期に焦って仕事をしていたら、些細なミスを連発してしまった。」という経験はありませんか。ミスをしてしまうのは仕方のないことですが、ミスはケガやトラブルの元になるため、できるかぎり未然に防ぎたいものです。

今回は、仕事中のミスを予防する「ポカヨケ対策」についてご紹介します。

小さなミスが大きなトラブルに発展した事例

数字を打ち間違えただけで2億の損失
19万8,000円で販売するはずだったパソコンを、誤って1万9,800円と掲載し販売。社員がミスに気がつき、価格を訂正するまでの間に1500台が販売され、2億円以上の損害が発生。

ゴミの放置がきっかけで優秀な人材が競合企業に引き抜かれる
本来専用のコンテナにいれて捨てなくてはならない廃棄書類を、社員が段ボールにいれて放置したところ、段ボールが持ち去られてしまう。

後日段ボールに入っていた書類に記載されていた機密情報や個人情報が闇ルートで売られ、優秀な管理職7人が競合企業に引き抜かれる事態に。

確認ミスで上司が大けが
上司が中に入り込んでいることに気がつかないまま工場の機械を動かし、上司が機械に挟まれ数針縫う事態に。

ポカヨケ対策とは

ポカヨケ対策とは、ヒューマンエラー(ポカ)を回避する(よける)ための対策のことを指します。品質工学分野において国内外で大きな功績を残し、トヨタ自動車で生産技術トレーニングを実施したことで有名な新郷重夫氏によって、1960年代に考案されました。60年以上経った現在も、国内外の多くの企業で導入されています。

ポカヨケ対策をするために必要な2つのステップ

1.ミスをした状況を分析しミスの原因を探る
まずミスをした際の場所や時間、状況を細かく分析し、ミスの原因を探っていきます。このときに以前同じミスを誰かがしたことがあるかも確認しておくと、どのミスのポカヨケ対策を優先すべきかが見えてきます。以下がその具体例です。

○起こったミス
メール作成中、クライアントの会社名が間違っているのに気がつかず、そのまま送信してしまった

○場所
オフィス

○時間
14時頃

○状況
・仕事をいくつも抱え、慌てた状態だった
・昨夜23時まで残業し、就寝したのが深夜2時だったため、寝不足で頭がぼんやりしていた

○原因
注意散漫な状態で慌ててメールを打ち、最後の確認を怠ったから

2.後同じミスを繰り返さない方法を考え実行する
原因を分析し終わったら、ミスの防止策を考え出し、実行に移します。もし今後また同じミスをしてしまった場合は、分析と改善を繰り返し、より精度の高いポカヨケ対策にしていきましょう。以下がその具体例です。

○ポカヨケ対策具体例
・メールを打った後必ず目視でメール内容を確認してから、送信する

・注意力散漫な状態の場合は、他の人にメール内容を確認してもらう。

ポカヨケ対策の実践例

オフィスや工場内でのミスを防ぐために、企業では以下のようなポカヨケ対策が導入されています。

・不注意で自らの腕を切り落としてしまうのを防ぐため、切断機のスイッチを両手で押さなければ動かないような仕組みに変更

・製造過程で部品をいれる向きを間違えないよう、正しい向きでしか部品が入らないような形の工具を使用

・進ちょく状況確認シートを社員全員で共有し、作業の抜け漏れを防ぐ

まとめ

今回はポカヨケ対策の概要や実践例、導入方法についてご紹介しました。ポカヨケ対策は、日本の技術者である新郷重夫氏によって考案された、ミスを未然に防ぐための対策です。

導入する場合は、ミスが起こった状況や原因を詳しく分析し、その防止策を考えて実行していきましょう。ポカヨケ対策を、他の従業員にも共有していけば、複数人が同じミスを繰り返す事態を防げるため、企業全体の生産性向上につながります。

(画像はぱくたそより)

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高野勤一
高野勤一