転勤は拒否できない?!断れない理由と断ることが出来る方法

2015.08.01
はじめに

人事異動もその勤務場所の変更を伴う場合は通常転勤と言われ、全国に事業所を持つ企業の場合転居を伴うことも珍しくないと思います。さてこの転勤は拒否できない性質のものなのでしょうか?

就業規則の内容

転勤は通常同じ会社で別の勤務場所に異動することと定義されます。

多くの企業ではその就業規則の中に「転勤を命じることができる」ことと「転勤拒否は懲戒解雇対象」となることが明記されています。そのため、その就業規則のもとで雇用契約を結んでいることになりますので原則的に転勤は業務命令であり断れないと考えるのが妥当だと考えます。

しかし実際には、転勤拒否で懲戒解雇されたが、裁判で会社側が敗訴したケースもあります。それはどのような場合があるのでしょうか。

人事権の濫用など

裁判で転勤が争われる場合の争点は、その転勤が会社の人事権の濫用かどうかという点です。つまりは、その転勤の妥当性(他に代替手段が無いかどうか)転勤する労働者が大きく不利益を被らないかという点です。

単に老父母の面倒を見ないといけないとか、子どもの看病が必要といった理由では労働者側が敗訴するケースが多いと聞きます。どの程度の不利益を被るのか具体的に示す必要があると考えます。

また、入社時の雇用契約に地域限定の社員で転勤の無いことが労働条件であることが盛り込まれている場合は転勤が無いことを意味します。従って会社側の契約違反であることが明白ですので普通に転勤拒否をすることが可能だと考えます。

実際の転勤と内示

実際にはいきなり転勤を業務命令として本人に通達するという事例は殆ど無いと考えます。通常は人事異動案がある程度固まった時点で「内示」という形で転勤対象となる本人の意向を確認するということが行われます。

会社にとっても転勤させることによって従業員との間に無用の軋轢を生じることを決して好まないのは事実です。従業員の側からこの時点で家庭の状況などを配慮してほしい旨を伝え、会社側も十分に配慮すべきだと考えます。またこの場では忌憚の無い意見を述べ合う場として設定し、十分に従業員の意思を確認する必要があると考えます。

そうすることにより単に人事権の濫用を疑われないようにするだけでなく、スムーズな人事異動が行われると考えます。
また多くの会社で、転居を伴う転勤で発生した費用の全額と、餞別代わりの転勤のための一時金を支給する場合も多いと考えます。

まとめ

転勤は基本的に業務命令であり、従業員は拒否することが難しいと考えます。転勤は、転居を伴うケースも多く会社側も家庭の状況などを十分にヒアリングをする必要があると考えます。

記事をシェアする

佐藤幸吉
佐藤幸吉