東京高裁 定年後再雇用、賃下げは「適法」原告が逆転敗訴
2016.11.11
原告逆転敗訴
東京高等裁判所は、11月2日、定年後に再雇用されたトラック運転手の男性3人が、定年前と同じ業務なのに賃金を下げられたのは違法だとして、定年前と同じ賃金を支払うよう勤務先の運送会社「長沢運輸」に求めた訴訟の控訴審判決を下した。
二審の東京高裁は、運転手側の訴えを認めた一審・東京地裁判決を取り消し、請求を棄却した。

一審判決は
原告のトラックの運転手3人は、定年退職したあと、嘱託社員として再雇用されたが、「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」として会社を訴えた。
裁判では、正社員との格差が、法律で禁止された不合理なものと言えるかどうかが争われ、一審の東京地方裁判所は「財務状況などを見ても正社員と格差を設ける特段の事情はない」として同じ賃金の支払いを命じ、会社が控訴していた。
控訴審では
しかし、二審では、「同じ仕事でも一定程度の賃金の減額は社会的にも容認されていて、企業が若年層を含む雇用を確保する必要性などを考慮すると、減額は一定の合理性がある」と指摘した。
さらに、「調整給」を支払うなど正社員との賃金差を縮める努力をしたことや、同社の運輸業の収支が赤字になったとみられることなども考慮し、「賃金の引き下げ幅は、年収ベースで2割前後と、同規模の他社を下回っていて、直ちに不合理とは認められない」として、一審の判決を取り消し、原告の訴えを退けた。
▼外部リンク
東京高等裁判所 HP
http://www.courts.go.jp/tokyo-h/
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